沖縄の海といえば
他の日本の地域では
なかなかお目にかかれない海の生き物、
マンタが生息する海として有名です。

マンタはとても興味深い生き物です。

まず、そのネーミング。
「マンタ」は、平べったく、
「マント」のように薄いその姿から
その呼び名がついたそうです。

そんな由来もあってか、
マンタを数えるときに使う単位は「枚」。
ダイバー仲間のあいだでは、1匹、2匹…ではなく、
1枚、2枚と数えることが多いです。

マンタの体長は、およそ1〜5メートルほどあります。
人間より大きいので、
クジラやイルカなど海に生息する哺乳類のように思えますが、
実は、魚類に分類されるエイの仲間なのです。

巨大なエイ、マンタは、
魚類の中でも比較的大きな生き物ですが、
その体に占める脳の割合も多く、
とても賢い生き物なのです。

私が、大都市での生活に疲れ果て、
癒しを求めて始めたダイビングのために訪れた土地、沖縄。
ここで私は人生で初めてマンタに出会うことができました。

慶良間諸島の、そのとあるスポットは
クリーニングステーションと言われているスポットで、
小さな魚が戯れる珊瑚の岩山でした。

マンタは、その大きなマントを目一杯に広げて
気持ち良さそうに
岩山の真上に浮かびながら
その体に付いた寄生虫や
古い角質を魚たちに食べて取り除いてもらっているのでした。

マンタが、束の間の休息を得て
リフレッシュしているその光景を見て、
まるで、マンタと当時の私は
似ているなぁと感じました。

知らぬ間に自分に憑いてしまった余計なもの。
新しい自分に生まれ変わることができたおかげで、
必要が無くなったもの。

それらを抱えて、
身動きがとれずにもがくのではなく、
色鮮やかで透き通ったきれいな沖縄の海の中で
さっぱりと落とし切ってみる。

心も体も解放されて、
自由を感じられるひとときです。

魚たちによるクリーニングがひと段落すると、
マンタは珊瑚の岩山から少し離れ、
潮の流れに流されて、
その場を去りかけたかと思うと、
ふと潮の流れに逆らってUターンをし
私たちダイバーがいるポイントまでゆっくりと戻ってきました。

知能が発達した生き物、マンタは
人間を識別できるといわれています。

まるで、私に意図して近づいてきているといわんばかりの
頭上すれすれの至近距離を、
横目で私を見つめながら
ゆっくり通り過ぎて行ったのでした。

マンタはどんなメッセージを
私に送っていたのでしょうか。

マンタから感じ取れる
そんなインスピレーションが欲しくて
毎年、時期になると
ダイビングでバディを組んで会いに行きます。

マンタに出会えるポイントは、
スキューバダイビング用の装備が必要なことが多いのですが、
沖縄には、
シュノーケリング用の装備でも
マンタに出会える可能性のある
流れの緩やかで水深の浅いポイントが
いくつかあります。

あなたも、沖縄の雄大な海の中で
マンタに出会ってみませんか?

Bio

acari(あかり)

海、山、自然大好き人間。スキューバダイビングではよく沖縄本島で潜っています。